ー 10 ー ドウソウ
「この争いは・・・
・・・今も続いている・・・。」
アユムは滑らかにしゃべった。なんの悪びれた様子も無く・・・
「だから、戦力が必要なんだ。ここを守るだけの。
君達はそのために居る・・・」
アユムの調子は変に冷静さを帯びていた。
まるで、真実は異なるかのように・・・
しかし、
はたして今の私はまだそこまで読み取る能力を持ち合わせていなかったのだ。
「そんな、
じゃあ研究のサンプルにされるだけじゃなく、
その敵の人たちと戦えと?」
私が食ってかかると、アユムは表情を変えずにこんなことを言ってのけた!
「いいんじゃないのか。
魔法を使えるようになるんだから」
私はこの言葉を聞いて顔をしかめた。
なんかおかしい感じだった。
「よくない。
私は前から嫌だった・・・
人に何か勝手に考えられ。それをみんなの前で勝手にしゃべられて・・・
本当は存在しない虚のイメージに
自分ひとりで・・・苦しむことが」
「・・・?」
アユムが目を見開く。
「前って・・・?」
そして、
そう言いつつ怪訝そうに私を見つめた。
「え」
私はあとずさった。
ー 前から? ー
ー いつ私はそんな風な目にあったのだろう? ー
記憶には無いことだった・・・。
そうだ・・・
そういえばアユムは言っていた。
「その名前をつけた親の意を汲み取るんだな」と、
ー 親? ー
親?
親なんて居るはず無い!!
だって、私はアンドロイドなんだから。
なら・・・・・・・・なぜだろう?
なぜアユムはあんなことを言ったのだろう??
なぜ、
私はあのようなことを口にしたのだろう??
そう・・・アユムはこんなことも言っていた・・・
ー 失ったからといって悲しむ必要はない ー
失うというのはどういうことなのだろう?
私はなんだか引っ掛かる物を覚えた・・・
それは新しく生まれ出てきたものではないような気がした・・・
どちらかと言うと・・・今までどうでもよかったものが
どうでもよくなくなるような感覚に思えた。
でも次の瞬間、
私のそんな思念はケイの明るい声にかき消されたのだった。
「あまり細かいところに突っかかっていると、二人とも疲れちゃうよ。
ってゆーかアユムさん、もうちょっと大人になってください。
いくら眠いからってきつい言い方は厳禁ですよ」
「な、なにっ!?」
アユムもそれにつられてか、いつもの表情に戻って反発。
この人って一つのことに集中すると周りが見えなくなるタイプなのかな??
うーん。
でも、それに対してケイさんは違うと思った。
彼は、よく分からないけど、
あらゆる面に目が行き届いているような感じがする。
今だって、アユムは勿論、私さえいつもの調子に戻っているし・・・ね。
ケイは私を含め、他の誰よりも物知りで
むしろ次元が違うような錯覚さえ受けた。
・・・と、
今まで壁にもたれていたシュンがすっと身軽に体を立たせた。
彼の氷のように冷たく青い瞳が光った。
「何か物音がしない・・・?」
「うん・・・。何か大勢の足音のような・・・」
ココもそれにうなずく。なぜか二人は緊迫した表情をしていた。
「足音・・・?」
そんな二人の様子にアユムが首をかしげてドアの方を見ると、
今度はケイが変なことを言い出した!
「二人とも魔法を使い出したせいで、
普通の人より神経が鋭敏になっているんだ・・・。
だからこの建物の外の音まで聞こえてくる」
「え?なんのこと」
と、私。ケイさんの言っていることがどう繋がるのかが見えない・・・
ただ、一方のアユムは、静かに黙してケイの言葉を待っていた。
それに答えるようにしてケイが小さな声で鋭く叫んだ!
「アユムさん・・・・。これから五分後にここは占領されます!」
ー つづく ー