ー 18-3 ー   

「頼むよ・・・。ユイカ。」
ショウゴは持ち前のの口調で、ユイカに語りかけた。
「アユムはさぁ、必要なんだよ・・・。
 これからの未来にさぁ。
 でも、オレなんてちっぽけなヤツだから、いなくったって世界にとっちゃ痛くも痒くもねぇんだ・・・。
 ・・・だから良いのさ、オレは。ユイカが忘れなければそれでいい・・・。
 生きた証拠はそれだけでいい・・・」
ショウゴは人懐っこく笑うと、ユイカに頭を下げた。
「アユムとオレを入れ替えてくれ・・・・いますぐに・・・」





ザー−ザーザー−−−−−

画面が白い線で覆われていく・・・。
後味の悪い切り替わりだった・・・。
(謎ばかり・・・。
 「入れ替える」と、ショウゴは言っていたが・・・・)
アユムは混乱する頭の中、嫌な予感を振り払うのに必死だった。
(考えたくない・・・考えたくない。
 だって、俺が見た現実の過去では、あのあとショウゴに会った覚えがまったく無い・・・)

ショウゴはどうしたのだろう?どうして今まで姿を見せない?

そう考えると、目も眩みそうだった・・・。

「アユム・・・」
ふとその時、耳元で聞きなれた声がした。
今度はユイカの声だった。
(薬の匂い・・・・)
瞳を開けると、そこはまたしても病室のベッドの上で、ユイカが横でアユムを呼んでいたのだった。
これは見たことがある、アユム自身の過去だった・・・・。
アユムは周りを見渡すと、寝転がったまま、ユイカにたずねた。

「ユイカ・・・。俺は助かったのか?」
(・・・!?)
とこのとき!!アユムは、あることに気が付いた!
(今までのと違う・・・。
 身体が勝手に事象をトレースしている・・・!!
 俺はそんなことしゃベリたく無いのに、口が勝手に動いて・・・)
そう、アユムに提供されていたのは、今回に限って視点と思考だけだった。
今までは過去とはまったく別のことをしゃべってみたり、
自由に行動することが出来たのに・・・。

「死ぬかと思ったよ。
 あんな高いところから落ちてさ。
 どれくらい眠ってた?」
アユムの口は滑らかに動いた。
この言葉。過去に彼が発したものとまったく同じだ。
(チッ、これじゃあ前回の画面とほとんど変わらないじゃないか)
そう、よく考えてみるとそうである。
アユムがただ映像を見せられているだけなのは変わらなかった。

「2日くらいかな・・・。アユム、奇跡的に軽い怪我で済んだみたい。」
ユイカは白々しく答えた。
「あれ?ショウゴは??」
アユムはそんなユイカの態度など気にしている様子も見せず、
ただぼや−っと辺りを見回している。
知らないのだ、何も・・・。
このときは知る由もなかった。

「ショウゴはね。前から引越しをすることになってたのよ・・・。
 だから、ちょうどアユムが眠っている間に遠くに引っ越しちゃったの。
 それでね、あんまり突然のことだったから、場所聞くの忘れてて・・・。もう会えないかもしれない」
見る限り、ユイカはいたって普通だった。もっともらしく話をする。
「そっか・・・。」
アユムも疑う余地無く大真面目にそれを受け止め、寂しそうな顔をする・・・。

「ショウゴ、本当に遠いところに引っ越しちゃったから、
 電話も掛けられないかもしれないって・・・・」
「そんなバカな・・・」
「本当だよ・・・。
 もう一生会えないかもって・・・・」
「一生・・・・?」

(もう、分かってる・・・・。だから皮肉はやめてくれ)
アユムは消え入りそうな気持ちで、目をつむった・・・



ザー−ザーザー−−−−



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