ー 20−2 ー
「はぁ、はぁ・・・。
な、なんとか着いた・・・」
ココはふっくらした頬を冷たい汗で濡らしながら、噴水の横で背を低くしていた。
「やだ・・・。
寒い・・・」
時刻はもう夕方を過ぎて夜だった。
汗で冷えた膝を小さく抱え込むと、ついでにスカートの汚れを払い落とす。
「払い落とす」といっても、お粗末なもので、
もはや破れかけているベージュのそれは汚れがどうとかいうレベルの問題ではない状態だった。
自然と、ため息もでてくる・・・。
(・・・・茂みのバカ・・・!
新しいスカートだったのに・・・。
何でこんな目にあわなきゃならないんですかぁ・・・)
静まり返った公園では、なんとなくそんな心の声が遠くにひびいて聞こえてしまいそうで、
ココは少しすくんでみせた。
ああ、そんなことより・・・
さっきから、
嫌な予感がするのだ。
闇に紛れて、宙を切断するような・・・
たった今、自分の周りに潜む危険の気配が・・・
ココは、次第にきょろきょろと辺りを見回すようになっていた。
・・・ヒュウッ
不意に背後に冷たい気配が走る!!
その瞬間。ココは振り返りもせずにすばやく横に転がりでた!
と次の瞬間、大きな金属音と共に、
自分のすぐ右のタイルに細く滑らかな刀身が突き刺さる!
ガキン
「な・・!?」
ココが急いで振り返るとそこには無表情な黒い人影がたたずんでいた・・・
(ヒト・・・)
やはりそれはクドウヒトその人だった!
彼は、鋭利に光るその刃物をグッと引き抜くと、
口をぼそぼそと動かして独り言のように呟いたのだった。
「なんだ・・・。避けたか・・・」
そして、軽い身のこなしでバック転して間合いを取ると、
日本刀のようなその刀を再度構えなおしたのだった。
「きみという人に恨みがあるわけではないけど、
僕にも日々達成しなければならないノルマがあるんだ・・・。」
「は、はい?」
あまりにちぐはぐなことを言われたので、ココはつい反応してしまった。
ノルマ・・・?それはどういうことなのだろう??
ココが不可思議な表情をすると、
ヒトは微動だにせず、さっきと同じように口だけをぼそぼそと動かした。
「これ以上言うことは無い。
・・・・お手柔らかに」
言ったかと思うと、もの凄い速さで間合いを詰めてきた!
「うっ・・・」
ネコのような滑らかな動きにココは跳びすさることしか出来なかった!
なんて言うか、ヒトの動きにはひとかけらのスキもない。無機質で連続的なのだ。
(このままだと、数分と持たない・・・。
何とかしなきゃ・・・)
ココは足にくくりつけていたナイフをすばやく抜き取ると、
手の中で一回転させて馴染ませると、勢いをつけてヒトに投げつけた!!
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