ー 3 ー こんとん
「きみはこう考えたことは無いかい?
すべての行動の主体であり、
思考と判断の確実性を決定している自身こそが
実は作り物の本体ではないか・・・・って・・」
「・・・」
私はなにも答えなかった。
アユムが次に何かいいたそうだったから・・・
アユムはそんな私の様子を見て、
ちょっといぶかしい顔をした。
「なんだ、何も思わないのか。
まあ、いい。率直に言おう、
きみは人造人間。つまりは、アンドロイド・・・なんだ。」
そしてニヤリと笑う。
「は、はい?」
私は思わず声をあげた!私が人造人間?
本当だったらすごいけど、
いまいちそれにしては信じるだけのインパクト(?)みたいなものがない気がする。
まずこのアユムの表情じゃ真実かどうか分かったものではない
ということもあるけど。はあ。
・・・でも、
何よりアユムの今の発言にはどこか大切なところが抜けている気がしたのだ。
「・・・そうかも」
と私がてきと-に合わせて答えると、
アユムはさらにいぶかしそうに
「信じていないのではないですか?」
と営業用の口調で私の顔を覗き込んだ。
「さあ。わかりません。
でも、そうであろうと無かろうと私は私ですから・・・。」
私はまじめに答えた。
本当に思ったこと、そのままを口にした・・・つもりだった。
・・・すると、
なぜかアユムはいつもの調子を失って、怒りを抑えるようにこう言ってきた。
「いい度胸じゃないか。
きみの発言から信じていないのは明白だけどね」
・・・実はこのとき
アユムは私が「信じていない」ということに腹を立てたのではなかった。
彼のキオクに残るある時の私が、今の私の言葉と重なったから、
それをしかってくれたのだった・・・
「それとも・・・どうでも良いのか?」
しばらくの沈黙の後、アユムは唐突に話し掛けてきた。
私も、うつむかせていた顔をあげる。
見ると彼は手持ち無沙汰なのか、
飲み終わったコーヒーのスプーンを手でもてあそんでいた。
「別に自分のことなどキョウミの対象ではないということか?と聞いているんだ。」
今度はヤンワリとした感じだった。
しかし、私にしてみれば
アユムが何に対して優しくなっているのか分からない。
・・・彼はこのとき・・・・
私に「違う」と言って欲しかったに違いなかった・・・・
なのに・・・
現実はきっとそうはいかない・・・
「そうかもしれません。」
と私は大して気にも留めずにそう言ってしまった。
「・・・」
アユムは何も応えない。
そんなアユムの様子を、私はさして気にとめずにつづけた。
「・・−というより私は自分以外のこともあまり興味がないから」
さっきと同じくただ単に、思ったままを口にしたつもりだった。
でも、アユムはかげった表情をしていて
その瞳も輝きが無い。
「それは、
人造人間だからですか?きみが人造人間だから・・・」
聞いていることがちぐはぐ・・・。
「アユムおかしいよ・・・。なに言ってるのか分からない」
私は初めてアユムを呼び捨てにして言った。
彼の言っている事が飛躍しすぎていると言うのもあったが、
それよりも彼のこんな表情は見たくない気がした。
「・・・湖澄には分からないのか。余計なコトを・・・言ってしまった。」
また、分からないことを言う。
・・いや・・
解らせない?
むしろわかって欲しくないみたいだ*
「とにかく、シュストーユに来てください。
湖澄は私の技術を必要としているし、私は湖澄の力を必要としています。
つまりは、「持ちつ持たれつ」と言うやつです。」
アユムがこんな風によく態度を変えるのも、そのせいかもしれない。
今は、もう出会った時と同じ表情をしているのだ(・*・)
まるで表情や態度をころころ変えることで相手の混乱をワザと狙っているように・・・。
「分かりました。とりあえず行ってみます。」
私はついに折れた。
でも、やっぱりアユムにとっては「とりあえず」というところが気に入らないらしい。
「「とりあえず」なんて蛇足だぜ。
きみは意思だけを簡潔に表せばいいんだ」
と、顔を少ししかめる。
この人どんどん態度悪くなってない??
「変な理屈ですね・・・(ひねくれぼうず・・・)」
「フフフ・・・(生意気太郎め・・・)」
かくして、わたし達はシュストーユに向かうことになったのだった!
ーつづくー
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