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「つまらないことはいつまでもつまらなく、
 嫌な事は逃げたところで、必ずそこに存在し続ける。
 湖澄、君に選択権は無い。どちらにせよ自由と言うものは君には無いんだ。」
アユムは丁寧でも粗雑でもない、今までにはちょっと聞いたことの無い調子で言った。
そう、現実的には選択は2つある。
でも、シュストーユに行くにしろ、スクラップにされるにしろ、
私に、はっきり言って自由への道は残されていない*
アユムが言いたいのは、「どうせそれならば・・・」ということだと思う。
まあ、シュストーユ行きを断った後、ないしシュストーユ行きを承諾した後に、
逃亡するって手も在るけど。(おい)

と、わたしがボーっと考えているとアユムは意地悪に笑って
目の前の建物を指差した!
「着いたぞ、シュストーユに」
「え?」
びっくりである*
研究施設というからどんなに陰湿な所に立っているのかと思ったけど、
実際は大違い!
そこら辺にある綺麗なオフィスビルなのだ。
現実離れした所を予想していた私にとっては逆に意外だった。
一方アユムのほうは慣れているらしく軽い足取りで入り口へと向かった。
「さあ、行きましょう」
「え?は?ま、まだ行くとは言ってな・・・」
と、私。
しかしアユムは取り合わずにずんずん歩いていってしまった!
「ちょっと聞いているの?」
急いで私が言うと、アユムは横目で私を見てちょっと笑んでいった。
「あなたは、最初からあったのでしょう?」
「え、なに?」
と、私が不思議そうな顔をすると、
アユムは今度は嫌味なのか何なのか営業用の笑顔で
「ここに来る気が・・・ですよ」
と言った。
「ふへ?」
「断る気なんて最初から無かった・・・。
 そうですよね?くくく」
こ、このひとなんなの・・・!
ちょっと図星だっただけに私はムカッときた。

そんな私のことはほうっておいてアユムは自動ドアを通り受付の前まで
一人で行ってしまっていた。
それを一生懸命追いかける私・・・。なんか情けない。
中に入ると、玄関ホールには白衣を着た人なんかがちらほら歩いていて
さすが研究所といった感じ*観葉植物なんかもあるし・・・。
そうそう、受付のカウンターには看護婦さんぽい服を着たお姉さんがいて、
アユムはその前でいろいろと用件を言っているようだった。

「はあ、はあ・・。アユムそんなに早く行かないでよ!」
息も絶え絶え私は文句を言ったがアユムはしらんぷりで、
受付を済ませるのに専念していた。
「キリハラ アユム。IDはOAB0810Bで、ホームは「グロウ」だ。
 ああ、70棟の。
 そうそう、このパスは期限大丈夫なのか?
 ・・・・そうか、ありがとう。
 今日のゲートキーパーはユメナリか・・・」
そして受付が終わるなり、180度回転して私にこれからのことを説明してくれた。
「これから70棟の「グロウ」という部屋に向かう。
 セキュリティが厳重だがメンバーの俺がいるからきみはついてくればいい。
 着いたら、いろいろ説明しよう」
「はい。」
と私。アユムは頷いた後、エレベーターの方にきびすを返した
「よし。
 では、さっそく行きましょう。
 ・・・あっと、でもその前に記録を追加しておかなければ・・・」
「??」
首をかしげる私を無視してアユムは鞄からパソコンを取り出して
5分ほどその場でカタカタと打った。
「これでよし。さあ、行こう」
何が「これでよし」なのか私は分からなかったり・・・。まあいっか

                             ーつづくー

*人物データ「キリハラ アユム(霧原 歩)」を更新

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