ー 5−2 ー
同じ時刻、
暗闇に包まれたシュストーユの屋上で、ちょっとしたことが起こっていた。
「誰だ・・・?」
始まりは夢形 慶(ユメナリ ケイ)のその一言だった。
屋上のフェンスの上に誰か見慣れない者がいたのだ。
「クドウ ヒトだ・・・。
単なる下見だから、できれば争いたくない」
そいつは静かに言うと、フェンスからゆっくりと降りた。
ネオンの明かりの中、
ユメナリは初めてその侵入者が自分と同じ18歳くらいの少年だと分かった。
ヒトは長いとも短いともいえない黒髪で学校帰りなのか学欄を着ている。
「な、何をやっているんだ」
どう対応していいかわからずユメナリが曖昧に尋ねると、
ヒトは無表情にこう答えた。
「言っただろう。下見・・・だと」
言うなり銃を取り出す!
「なっ」
ユメナリが凍りつくと、
ヒトは何を思ったのかその銃の取っ手を手の上でくるくると回して、肩をすくめて見せた。
「別に、敵意を持っているわけではないんだ。今のところ・・・だけど。
ただ、こういうのも持ってるってだけさ・・・
脅かしたようなら悪いことをした」
風でその漆黒の髪が揺れる。
ヒトは澄み切ってはいるが、恐ろしく冷たい声でさらにこう言ったのだった。
「今回はこの銃に免じて見逃してくれ。
これでも一社長の息子なんだ」
一社長の息子・・・??
この一言でユメナリはすべてを了解した。
こいつはもしかして・・・
「あの玖堂 飛斗(クドウ ヒト)か・・・?」
「・・・」
ヒトはなにも答えずきびすを返すと空に舞い上がった+
これは形容とかではなくて、本当にヒトは空を飛んでいたのだ。
「・・・」
ユメナリはその光景を目を見開いてただ見送ることしか出来なかった。
そう、あいつは確かにここに来たのだ。
となると、かなり事態は深刻である
「アユムさんに・・・知らせなければ・・・」
ーつづくー
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