ー 9-2 ー

「それで、
 そのエリア定義された物質を身に付ける、又は、持ち歩くことによって
 俺達は、いつでもどこでも魔法を使うことができるんだ」
今まで傍観に回っていたケイが説明してくれた。

と、今度はココがそれに付け加える。
「その媒介、参考までに言っておくと、
 私が右足のバンド、シュンが羽根のステッキ、
 ケイさんが腕時計と靴と銃、アユムさんが浮遊ビットとチョーカーとブレスレット2つ、
 だよ」
へえ、普通のものなんだ(アユムの浮遊ビット以外は¿)。

どうして箱状のものじゃなくてもいいのか聞いてみたら
媒介は、実は腕時計とかそれ自体ではなく、その周りを覆うコーティング材なのだという。
つまり、
紙のようにそのコーティング材が染込んで、隙間がなくなってしまうもの以外なら何でも良いのだそう。
例えば時計なら外側全部コーティングできるので、そこに空間を閉じ込める隙間が出来るからOK、
・・・ということなのかな?確信もてないけど。

そして、その媒介は沢山付けた方が良いらしいんだけど、
精神力の無い人が沢山つけるとかなり疲れるので、
結局精神力の強い人ほど沢山つけれるのだそうです+

「例によって、
 精神力の強い者ほど強い魔法が使えるんだ・・・」
とシュン。
自分は媒介を一つだけしかつけることが出来ないためか、ちょっと悔しそうです。
「なあに、鍛錬すればすぐに追いつくって」
とケイ、相変わらず勘が鋭い。
いつもこの人は侮れないです。

私達が和んでいると、
アユムはちょっと改まった口調でこう言ってきた。
「で、その物質の研究なんだが、
 実は・・・その研究内容をまとめたレポートがある日盗まれたんだ」
「え?」
私は目を丸くした。
「手口は今だ分からないけど・・・
 とにかく無くなっていた。
 そして数日後、クドウという人から電話が来た。
 話の内容は「シュストーユ発見の隠蔽」の提案だった。
 そう・・・、
 レポートを盗んだやつからコンタクトする機会があったんだ」
アユムはいつにも増して暗い声で言った。
それを半ばさえぎる様にしてケイが言う。
「いや、こちらはレポート取られちゃってる訳だし、
 実質、脅迫だったよ。あれは」
それもそうだ。
でもアユムは首を振る。
「まあ、そうとも言えるが・・・
 俺も、あながち間違った選択とは思わなかった。
 確かにシュストーユは危ない。
 その力もさることながら、
 何よりそれを行使するのに精神が削られていくという点が俺の危惧の対象だった。
 魔法を使ううち・・・心が削り取られていくような気がした。
 もし本当にそうだとハッキリ証明されたなら、
 俺はクドウの提案を受け入れたと思う・・・」
「でも、今こうして使っているってことは受け入れなかったんだね」
と私。アユムは頷いてきっぱりと言った。
「うん・・・。
 俺はなんだかんだ言って、可能性が潰されるのが嫌だった。
 魔法は確かに精神を使うが、精神を使わずに魔法を使う方法だって思いつくかもしれない。
 確かにすごい力をもっていて危険といえるかもしれない。
 でも、それと同時に良い使い方もあると思った。
 魔法は危険ではあったが、
 それと同じ風に可能性もあった・・・」

でも、
アユムはきっと分かっている。
間違えれば自分ひとりでは収拾のつかない事になってしまうこと。
だから、
ケイがいるのかも知れなかった。
だから、ココやシュンがいるのかも知れなかった。

アユムはなおも続けた。
「だから。俺達はその申し出を拒否した。
 そうしたら、クドウはすぐに電話を切ってきた。
 それから、
 こちら側の研究者達が次々に消されていった・・・。
 こちらも負ける訳には行かないから、防衛システムの強化と自己の訓練をし始めた。
 相手も同じ、
 強い武器、高度な技術をそろえてくる」
「そうそう、どうしてこんなに費用のかさむこと出来るのかと思ったら、
 クドウはコーエルって会社の社長さんだったんだよね」
とケイ。
さっきから聞いていると、
どうやら彼はそのときもう既にここに居たらしい。
「ああ」
ケイに対しアユムが珍しくため息をつく。
そして、
次の一言に私はゾッとしたのだった。

「この争いは・・・
 ・・・今も続いている・・・。」

ーつづくー

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