- 13 - 脱出
私達は、
恐る恐る廊下へと踏み出した。
部屋と違って、廊下はいかにも薄暗く、
そして、
静まり返っていた・・・・
注意深く左右を伺ったけれど、
見たところ誰も通路内には誰もいないようだった。
でも暗くて奥の方まで見渡せないから、
はっきり「いない」とは言い切れないのだけど・・・
シュンがそっと呟く。
「敵はしらみつぶしに1階からさぐっているのかもね・・・」
あ、言われてみればそう。
でも、それは同時に
私達の逃げ場が無いことを意味しているような気がした。
「ねぇ、シュン・・・・。
でも、それじゃあどうやってここを抜け出せばいいの・・・。
下には敵がいるのに」
私が、不安げな声を出すと、
彼はちょっと難しい顔をして
「とりあえず、こっちは少人数だから出来るだけ戦闘は避ける。
物陰があれば隠れるべきだし、
それに、両研究所とも特に定められた制服があるわけではないから
あちらの生徒になりすます事も時間稼ぎには重要かな・・・。」
と、首をかしげた。
「そ、そっか」
コクコクと頷く私だったけど、まだまだ不安な調子があったのかな??
シュンは慰めるようにステッキを振った。
「なんとかしてみせるよ。
アユムさんに比べたらずっと頼りないかもしれないけど・・・。
あ、でも基本的には自分で判断した方がいいよ。
ぼくがコスミより機転が利くとは限らないから・・・」
「う、うん」
そうだ、私も出来るだけシュンの負担にならないようにしなくちゃいけないんだ。
いいかげん、
私達が歩き出すと、
早速こちらに近づいてくるもう一つの足音が聞こえた!
「コスミ・・・!
ぼくの前には絶対に立つなよ!」
まだ相手もわからないのにシュンの反応は早かった!
彼はもう既に、その音の方へと走りだしていたのだ!!
私も、後からついて行く。
そうだ、
二人しかいない今、一瞬の時間差が命を左右することだってあるかもしれない。
だって、この廊下には隠れるところなんて無いから、
いずれ鉢合わせになるもん。
味方にしろ、敵にしろ、
先に相手を見つけた方がいいのは明白だった。
ー 一見無駄に見えることが・・・この世界では必要・・・ ー
「コスミ!!
敵じゃなかった・・・・
イーターだ!!」
シュンの声がこっちに飛んでくる。
「イーター」・・・
もう、おなじみの言葉だった。
私は、足をさらに速めた!
今度は、アユムのときみたいに何もしない訳には行かないと思った。
・・・と、
シュンとイーターが視界に入ってくる。
狭い通路に入り乱れた二つの影は、
背の高さゆえか、シュンの方が幾分不利に見えた。
「うっ・・・」
近くまで来て、
私は血のにじんだ彼の姿にハッとした。
シュンはもう怪我を負っていたのだ。
彼がココに来て、私が到着するまではたったの数秒の時であったというのに・・・。
だからと言って、
私が何か出来るはずも無いのだ。
ただ、遠くから見ているだけしか・・・。
そのとき
イーターの腕が大きく振り下ろされた!
シュンはそれを何とか手で受け流すと、
イーターの腹を渾身の力で蹴り飛ばした!!
ガツッ
イーターが壁に激突する!
シュンって以外に力持ちかも・・・。
ただ、致命傷にはならなかったらしく、すぐさま起き上がってきた!
しかし、
心配には及ばなかったのだ。
シュンは翼のついたステッキを頭上に掲げて叫んでいた。
「コイツ・・・
・・・寄るなぁ!!!!」
次の瞬間!!
茶色をしていた翼はみるみる白く色を変え、
まるで生きているかのように羽根を広げた!
「え・・・」
私は目を見開いて突っ立っているしかできなかった。
本当に天使そのもののようなその翼は、
不思議以外の何物でもなかった・・・。
シュンはそのステッキを大きく操り。
紅蓮の炎をどこからとも無く編み出すと、
イーターを一瞬にして焼き払ってしまった!!
説明すると長くなるけど、この間は本当に短い時間だった。
だって、イーターが反撃する間もなかったのだから・・・
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