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「・・・。あれ?」
と、アユムは拍子抜けした声を出した。
アユムは、ここのあたりで画面が切り替わると思っていたからだ。
小学校の場面でも、病院の場面でも、
いつもキリのいいところで眠くなるなり気を失うなりしていたのに、
今回に限ってそれが無かったのだ。
(このシーンにはまだ続きがあるわけか・・・)
アユムはふうっとため息をつくと、
のろのろとショウゴの後を追った。
    ・
    ・
    ・
「おい、キリハラ。おせーぞ」
ショウゴはいまだに幻のように揺らめいて見える。
立ち込める霧・・・。打ち付ける水の粒のリズム・・・。
まさに「ここは現実ではないですよ」
とでもいいたげな空間・・・。
「ごめん・・・。
 ど忘れしちゃったんだけど、俺達ってこれからどこに行くんだっけ・・・?」
アユムはごくごく自然を装って聞いてみた。
いまだに、なぜ待ち合わせをしていたかを思い出せずにいたのだ。

ショウゴは薄い靄の中、アユムの頭をくしゃっとなでた。
「・・・おまえ。ほんとボーっとしてんのな。
 これから、ユイカと体育館で待ち合わせだろうが。
 んでもって3人そろってクドウの居るビルに行く・・・。
 そこに例のソースがあるんだろう?」
ソースって言うのは言うまでも無くカツなんかにぶっかけるアレではなく、
根源という抽象的なイメージを表すキーワードだった。

− ソース −

何のソースかって?

(そういえば、そんな暗号もあったな・・・)
アユムは記憶を手繰るように瞳を閉じた。

(ソース・・・。俺達は、そう名づけていた・・・。
 アンドロイド作成時に参照するサンプルのことを・・・。)

− サンプル −

それは何か?

(俺達だけの力でアンドロイドを作成することは不可能だった。
 知識に加え、莫大な研究費が必要だったから・・・・。
 そう・・、研究費をどうにかするにはあらかじめ完成された模型のようなものがあればよかったんだ。
 サンプルとはすなわち完成されたアンドロイド・・・。)
アユムはふっと目をあけて、
ショウゴの顔を見た・・・。
(クドウは俺と同じ研究をしていた・・・。しかも彼は社会人で、社長という地位に居た・・・。
 研究はみるみる進み、ついにアンドロイドを作ることに成功した。
 だから、
 俺達はこれからそいつを奪取しにいく。
 自分達オリジナルのアンドロイドを作るために!!)

「今思い出したよ・・・。
 さあ、いこう・・・・」
アユムは不思議そうに首をかしげるショウゴを悠々と追い越し、
一人雨の中をじゃぶじゃぶと進んだ・・・

(まあ、それ以前に、クドウが何やらいけすかないことを計画しているってことも、
 耳に入れてはいたんだけどね・・・)


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