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アユムは、突如息苦しさを覚えた・・・。
それは、はっきりとした人間の手の感触。
自分の首をギリギリと絞め上げているのが分かった。
(・・・!?)
暗闇の中、意識もはっきりしなくて、アユムにはもう何がなんだか分からなかった。
「あっ・・・!」
・・・と、
急に絞め付けが強くなった。
アユムは反射的に首を絞め付けている手に自分の手をかける!!
自分の首を絞めている手、それはアユムの手より大きくて、幾分ごつごつとしていた。
(大人の男の手・・・)
力では明らかに相手のほうが有利に思えた。
必死に手を引き剥がそうともがくが、力の差引きの分呼吸は徐々に苦しくなってゆく・・・!!
と、その時。
一気に視界が開け、今まで不明だった部分が全て明るみにさらされた!
「キリハラだったっけ・・・。
身のほど知らずもいいところだよなぁ・・・・」
囁くような声・・・・。気に障る不愉快な微笑み・・・。
目の前に映る男、それは、あのクドウ ヒトの父親である
クドウ ヤヅキ(玖堂 哉月)だった。
耳の奥で、風と雨の音が響く・・・。
ああ、このときだ。ビルに乗り込んだ後の・・・・。
ぎしぎし・・・
首に通る神経が悲鳴をあげる。
アユムは半分麻痺した体を皮肉るかのように心の中で冷笑した。
(本当にこのときは不覚だった。
アンドロイドが・・・、あんなに人間性を秘めているなんて思わなかったから・・・。)
これは誰にも話していないことだった。
いや、自分の過去自体、アユムはしゃべったことがなかったのだ。
かのケイにさえも、一言も自分の過去を漏らしたことがなかったのだから・・・・。
(ただのサンプルにと思っていたのに・・・、参ったよ。
閉じ込められているのが無性に可愛そうに思えて・・・。
また、その子を利用しようという気も全然起きなくて、
なんとか逃がそうと試行錯誤していたら・・・見つかって・・・・)
アユムは、再びぼやけてゆく視界のなか、必死に抵抗した。
しかし、現実と言うものは必ずヒーローに味方してくれる訳ではなかった。
「あばよ」
ヤヅキがアユムを宙吊り状態にし、手に一心に力をこめたのだ!
(あ、頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる・・・)
あまりの極限状態に、アユムの頭脳は機能を失いつつあった。
いや、脳だけの問題ではなかった。
顔は紫へと色を変え、瞳からは涙がこぼれていたのだから・・・。
耳の中でゴー−−と血の流れる音が響く。
・・・と、
「アユムーーーーーーーーーーー!!!!」
突然、背後で声がした!
ショウゴだ・・・!!
彼はものすごい勢いでこちらに走りこむと、クドウに回し蹴りを叩き込んだ。
凄いダメージとまではいかなくても、
手を狙ったその攻撃はアユムを開放するのには十分。
「おいっ!アユム!!しっかりしろよ!!」
立つことも出来なくなったアユムをショウゴは何とか持ち上げてくれた。
「呼吸は大丈夫か??ってか、目は見えてるか?」
「・・・げほっ・・・かはっ・・・・」
返事がまったく出来なかった。でも自分は大丈夫・・・。
大丈夫だから・・・早くここから逃げよう。
「アユム??」
ショウゴはアユムの思うところが分からないのか、
不思議そうな顔をする。
お願いだから分かってくれ!
このままだと・・・
「ぐっ・・・!!」
ヤヅキに後ろから腕をつかまれ、アユムはまたしても友達のもとから引き離された。
「アユム!」
ショウゴはとっさにクドウに掴みかかろうとしたが、
アユムを盾にされ、なかなか思うように攻撃できない。
ここはビルの最上階。外で嵐が吹き荒れる音が聞こえる。
クドウはアユムを窓の側まで引きずると窓の戸を片手で乱暴に開け、
アユムを軽々と外に放りなげた!!
「アユム・・・・」
ショウゴの声がかすかに聞こえた。
宙に放り出された身体はなすすべもなく、
ビルの側面を滑ってゆく・・・。
「うああああああーーーー!!!」
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