ー 18-1 ー    コンタクト


ザーーザーザーー−−−−

なんだか今回の切り替わり方は前の感じと違っていた。
曖昧さがさらに増したような・・・・。
不思議な感覚・・・。
目の前を白い線の集団が目まぐるしく駆け抜けていく・・・。
(なんだか、壊れかけているテレビの画像を、見ているようだ・・・)
意識はハッキリとしている・・・。
でも、なかなか実体の現れてこない画面にアユムはもどかしさを覚えた。

「サイ・・・クだ・・・・。」

誰かの声が耳に入る。
誰だろう・・・・・?すごく近くで響いてくる・・・
「最悪だぜ。アユム・・・・」
今度は、しっかりと耳に残った。
ショウゴの声だ・・・。
なるほど。画面にも顔をゆがめたショウゴの顔がぼやけてはいるが映し出されている。

「最悪だ・・・・
 サイアクダ!!!!」

その声は悲痛に叫んでいた・・・
(ショウゴ・・・・・・・?)
アユムは、心の中がこわばるのを感じた。
変な予感だった・・・。
恐ろしい予感なのは間違いないが、胸のあたりがムカムカとするような、内面に向けられた嫌な予感だった。
そして、アユムはそんな予感と同時にふと気が付いたのだ。

(なぜだ・・・?
 なぜ、俺の身体が無いんだ?)
そう・・・。
いつもだったら、ショウゴに応える自分が居る。
ユイカに応える自分が居る。
でも、今はどうだろう??
アユムの分かる範囲では、そこにいるはずの自分自身は存在していなかった。
(実体がない・・・
 俺の実体が・・・!!)
アユムは嫌な予感に苛まれた。
落ち着かない・・・。何か自分に重大なことが起こっている予感がする!
(俺の中の本能が危険を察知している・・・。そんな感じがする・・・。
 なんだ??)

− 一体この映像は何なのだ? −

突如、
かすれた画面は、現実の中で言うとちょうど屈んだときのように、足元の方を映し出す。
さっきまでの悲痛なショウゴの顔は画面の端に消え、
代わりに、水で黒光りしたアスファルトの表面が、
望んでもいないのにドアップで映し出される。
(・・・・もうどうにでもしてくれ。)
アユムは混乱しているのともどかしいのとで、幾分投げやりモードだった
彼お得意の思考をするのでさえ、今は馬鹿馬鹿しい気分なのだ。

でも、映像は嫌でも脳に入ってくる。

冷たい雨のしずく・・・

ひらひらと目の前を転がってゆくカサ・・・・

酷く吹き荒れる風・・・・

どうしようもない、嫌な予感がした。
・・・ふと、アスファルトに注意を向けると、
黒々とした中に赤みが差しているのが分かる。
その赤いものは、画面の端から始まり、中央の辺りで拡散している・・・。
(どろどろとして、液体のようなもの・・・。
 ・・・・ケツエキ・・・?)
アユムはやる気の無い気持ちで、思考をめぐらせた・・・

血液・・・・。何の?

と。


それは分かりきっているようで、
だからこそ分かりたくないことだった。

映像を見る限り、
今は「嵐が吹き荒れて」いる・・・。
そして、今は薄暗い「夕方」・・・。

えっと、
俺がクドウにビルから落とされたのって、いつだっけ??


ー・・・嵐の日の夕方・・・





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