ー 19-1 ー 淵源
くるくると
メリーゴーランドは回る
くるくると・・・くるくると・・・・
・・・・・ 繰り返しながら ・・・・・・
「ジャリジャリ」
ウサギのような生物は不可思議な声で鳴く。
アユムの瞳から目を背けながら・・・・。
いや、それはむしろ、
意識的な行動ではなかった。
ウサギの行動は、「背ける」のではなく、むしろ「アユムなど眼中にない」と言った感じだったのだ。
時に手をなめながら、時にそこら中を跳ね回りながら、
ウサギはシャベルのような音を口から発するのだ!
(さて、どうしたものか・・・・)
アユムはそんなウサギをじろーーと見ながらあごに手をあてた。
(なにかここから抜け出す方法を・・・)
それは、やけに首が長いウサギだった。
ほかのパーツは普通のものと変わらないのに、首だけがキリンのように長い。
しかも、洋服を着ているウサギ、
それは大部分が普通に人間が着るのと同じ作りだったが、
首の部分だけは長い襟に何個ものボタンがついていて不気味さを演出していた。
(首の長いウサギ・・・・。不思議な生物・・・・。)
アユムはウサギから目を離さなかった。
その行動を細部まで観察するつもりなのだ。
この謎の状況を抜け出す手がかりは、
このウサギしかないように思えたから。
そう、なぜか首の長いウサギ。そして、変な服を着たウサギ。
アユムは摩訶不思議なその生物をじっと見ながら考えた・・。
(服・・・。そういえば、服を着ているという事は、
少なくとも文化があるということだよな・・・。)
アユムは緑色の瞳をぱちくりさせながら、ふとそう思った。
そう、昔から彼はこういうどうしようもないところからヒントを見つけ出すのが得意だった。
もしかしたら、これが研究者になるための素質の一つであったのかもしれないけど・・・
(そうだ!!
文化があるという事は言語記号が存在すると言うこと・・・。
ということは、今ウサギは何かを喋っているのかもしれないぞ)
彼は「なにが答えなのか」を、知らず知らずのうちに模索する・・・。
それは、
途方も無い上に、実は答えがあるのかということさえ不確かであるというのに・・・・・
・・・・と、
アユムの脳裏に、先ほど見たおかしな情景が思い浮かんだ。
かすれた画面に、変な視点・・・。
そして、ユイカとショウゴの悲しい顔。
そう、あの時だ!
(あの時、
雨の音で二人の話し声は良く聞こえなかったんだよな。
ん??・・・・・あの時俺は何をした?)
ひとまず、ユイカの口の動きに目が行ったんだっけ・・・・。そして、そこから母音をとってみて・・・。
最終的には、偶然聞こえてきたショウゴの言葉からヒントを得て、
ユイカの言葉を解読することが出来たんだっけ。
(鳴き声の解読、してみようか・・・・。
さっきの応用だよな・・・)
アユムはなんとなくヒントを得た気分だった。
(どんな動物であれ、声を無駄に発する生物は居ない。
それは、何かしら記号的な意味を持っているのだから・・・。
いや、
鳴き声だけではないかも・・・。
表情からだって、その気分くらいは読み取れそうじゃないか?)
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