ー 9−1 ー とある物質
1時間後、ココちゃんとの雑談も済み、みんなが落ち着いたからか
アユムが重い口を開いた
「コスミ。
もう分かっているとは思うが・・・。
俺は、魔法を行使できる。」
「・・・うん・・・」
私は曖昧に相槌を打った。
アユムがこうもはっきりと「魔法」と言うとは思わなかったのでちょっとびっくりしたのだ!
でもいつもみたいに
アユムは私のほうなんかお構いなしである。
「俺だけではない・・・・
ここに居るみんなもそう・・・
シュストーユの者は少なくともみんなそうだ」
「え?」
これには私も目を見開いた!
とっさにシュンを見ると彼は口をキュッと結びながらも
控えめに小さく頷いた。
そうだったんだ・・・・
え?・・・ということは??
「じゃあ。
シュストーユってそういう能力を持った人だけを集めた所なの?」
私が推測したことを聞いてみると、
アユムは首を振ってこう言った。
「いや違う。
むしろ君の言う逆に近い・・・」
逆に近い?
うう、なんだかまた頭痛くなってきたよ・・・。アユムの言い回しって少し苦手です。
「・・・どちらかというと」
アユムは続けた。
「「普通の人に、魔法を覚えさせることが出来る所」なんだ。ここは」
「ふえぁっ!?」
わたしはアユムの言葉に思わず変な声をあげてしまった。
だって、だってまさかそうだとは思っていなかったから・・・
と、アユムの後ろに目をやると、ケイさんがくすくすと笑っているのが目に入った。
ひ、ひどいです、ケイさん・・・++
目を戻すと今度はアユムの口元がかすかに笑っているのが分かる¿
この人の場合ぜったいにバカにした笑いだ!
絶対にバカにしてるー!!!!!
「で、
それがどうしたんですか!!」
私が半ば声を強めると、
アユムはちょっと咳払いをしてこう言ったのだった。
「ゴホッ。え?
・・・あ、えー、つまりはその・・・
ここで発見された「ある物質」によって、
その魔法の使用ができる様になったと言いたかった」
「ある物質??」
と私が問うとアユムは癖なのか目を閉じてこう答えた。
「そう。超現象を起こす源となる物質だ・・・
それは、3年前にさかのぼる。
俺は当時ちょっとした理由からこの物質があることを確信していた。
だから仲間と協力して、少しずつ研究していたんだ。
そして、その物質は見つかった・・・・
我々はこの物質の名を「シュストーユ」とした。」
そして彼ははこうも言った。
「しかし・・・
シュストーユはどこにでも存在するわけでは無かった・・・
特定の場所の空気、水、石、樹木、など、
それは決して位置を変えることなく存在するのだ。
エイエンに・・・」
私は久々に頭の中をぐるぐるさせた。
位置を変えることなく?
なにが存在?永遠・・・
しかし、アユムが気にかけてくれるハズも無い。
「だから、俺はこう考えた。
シュストーユの存在定義は物質・物体に因るのではなく、
空間に因るのではないか?、と
そこで、エリアを切り取って持ち歩く方法を考えた。」
ここで私は、
アユムのいう「エリア」と「空間」は同じことをさす物だと解釈したけど、
合ってるのかな??
でも、なんで空間を持ち歩く必要があるのかぜんぜん分からない。
「「エリアを持ち歩く」ってどういうこと??」
あまりに謎が多すぎたので、まずそこから聞いてみた。
すると、アユムはこんな風に言ってきたのだった。
「今から話すことがその答えにもなってゆくと思う。
エリアを持ち歩く方法、
それは俺が考えたところ
シュストーユの存在する空間を絶対化して、性質を変えなくさせ、
その後、その絶対化した空間を切り取り、
実体のある媒介をつかって閉じ込め、その媒介を持って歩くことだった。
単純だが俺はそれが良いと思った。」
うう、ますます訳分かりません**
「何で媒介を使う必要があるの?」
と、私がとにかく思いついたことを質問してみると、
アユムは今度、顔をしかめて呟いた。
「おまえは空間を手でつかめると思うか??
手で空間を持ち歩けるとでも??」
「あ、そっか・・・」
よく考えてみると冷たい空気を運ぶにしたって、
閉じ込めておくための箱がいる。
つまりはそういうことだったのだ。
「その媒介のことを「エリア定義された物体」という」
アユムはそう言って目を開けた。